様々なUXデザインのプロジェクトに関わってきましたが、ほとんどのケースではUsabilityの改善に関する内容ばかりで、UIデザインの実践で解決できる内容ばかりでした。つまり、UXデザインを求めているのに、結果的にUXデザインを行っていないのです。それはなぜか?前節で、UX designの意味に関してまとめていますが、今節ではより詳細にUXデザインのアプローチについてまとめています。

 

プロジェクトのタイプ

まず、UX案件のタイプは大きく2つに分けられます。

  1. 新製品やサービスの事業立ち上げ
  2. すでにローンチされている、もしくは開発途中の製品やサービスの改修ならびにアップデート。

1のケースは何もない真っ白な状態でコンセプトから明確にしていくため、UXデザインを実践する意味がありますが、2のケースは、まさにUsabilityに関することやそれ以外の領域の話です。例えば、「モバイル上の検索をUXの観点で改善したい」や「この機能があまり使われていないから、使ってもらえるように工夫したい」といった内容です。こういった課題解決にUXデザインを利用しようとしたことある方は多いのではないでしょうか?

モバイルアプリの利便性をUXデザインで改善したいと考えた方は多いのではないでしょうか?

一番最初に行うべきこと

組織の中で、UXデザインに関するプロジェクトが始まったら、まずやるべき最初のアプローチは以下の2点です。

  1. 専門家のリソース確保
  2. ブリーフィングの再確認と再定義

専門家というのは、UXデザイナーだけでなく、事業で提供する製品やサービスの専門家、そして事業者であるビジネスオーナーもです。コスメ製品であれば、商品開発のプロ(化学者)や経営メンバー、車やバイクであれば設計者や技術者、もしかしたらサプライチェーンの人たちもなど、製品やサービスを開発・提供する上で欠かせない専門家たちです。

こういった専門家たちが一同に集まっている場でブリーフィングの再確認と再定義をすることが非常に重要です。それは、プロジェクトが新規事業の立ち上げなのか、すでに開発された製品やサービスの改修のどちらかに関わらず、まずどのようなUser Experienceを目指すべきなのか、ゴールの存在を関係者全員で理解する必要があるからです。この理解がない状態でプロジェクトを進めてしまうと、それぞれが別々のゴールに向かって進んでしまうことになります。

UXデザインはとても学術的な分野になるため、製品やサービスの内容に関連のある専門家が集まって議論しなければ、高い効果が期待できません。

ブリーフィングの再確認と再定義の重要性

UXプロジェクトの対象の多くは、「多忙なスケジュールを楽に管理できるアプリ」や「モバイルフレンドリーでコンサートのチケットが購入できる専用アプリ」など、使い方や使った印象に限定した範囲での内容が多いです。当然用意されているブリーフィングの多くも、こういった使い方や使われ方に限定した内容になってしまっているため、結果的にユーザビリティに関する実現方法の実践だけで終わってしまうことがほとんどです。

こういったことを避ける、つまり、UXデザインを効果的に実践するためには、まずブリーフィング自体を専門家であるUXデザイナーが作る必要があります。ビジネス上の課題を整理した上で、UXの視点でブリーフィングを再定義しなければいけないのです。

例えば「多忙なスケジュールを楽に管理できるアプリ」の場合、「スケジュールをガントチャート式で見やすくする」や「通知の設定が1クリックで設定できる」という方法論よりも、UXデザインの視点で見るならば、スケジュールの管理の仕方自体を変える話から議論しなければいけません。「モバイルフレンドリーでコンサートのチケット購入できるアプリ」の場合も同様です。モバイルで購入させる一番の目的はユーザーにとって便利なサービスを提供したいからですが、便利にすることがビジネスコアバリューの中心ならば、チケットを購入できるチャンネルをモバイルだけでなく、例えば駅のキオスクや郵便局でも受け取れるなど、もっと広範囲に存在してたほうがいいはずです。日本ではコンビニで様々なチケットが購入できますが、まさにこういうことです。

white and black motorcycle with black background

UXデザインがどのように実行されるのかは、ブリーフィングの内容次第で大きくかわります。例えばバイクは、どのような体験を生み出したいのかで、バイク自体のデザインが変わります。

ユーザー体験(User Experience)をデザインするというのは、目に見えない”モノ”を形成していく作業です。つまり脳の中で描かれている概念やイメージを明示していく作業です。しかし、明示するだけではなく、製品やサービスの提供によってどのような新しい価値をユーザーが受け取り、結果としてユーザーの製品やサービス利用がどのように変わったのか、成果を見る必要があります。

一方でUIデザインというのは、モバイルアプリのインターフェイスにしろ、TVのリモコンのボタンにしろ、ビジュアルとして視認できる”モノ”です。つまり、成果としてそれが良いのか悪いのか判断しやすいわけですが、それがユーザー体験にどう結びついているのかは、全く別の話です。

焦らず専門家にまず相談しよう

プロジェクトの内容に関わらず、なるべく早いタイミングでUXデザインの専門家に相談することが、UXデザインをスムーズに実践するための最善策です。場合によってはUXデザイナーが必要ではなく、UIデザイナーで対応できる話かもしれませんし、そもそもUXデザイナーという外部の専門家にお願いしなくても、チーム内のリソースだけで対応できる話かもしれません。

このような判断をプロジェクトの開始時点で行うことができれば、無駄なコストをかけずに進めることが可能です。UXデザインをどのように開始するのか悩んでいたら、是非お気軽にお問い合わせください。無料でご相談受け付けています。

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