AI Integration

AIを使えばビジネスが伸びる? その誤解と本当に必要なUXの力

AIを使う=ビジネスの価値が上がる、ではない

多くの人が誤解しています。「AIを使えば、それだけでビジネスの価値が上がる」と。確かに、ChatGPTやRunwayのような生成AIを使っている企業は急成長しています。でもそれは、AIそのものがプロダクトやサービスになっているビジネスだからです。一方で、AIを“使って何かを自動化する”タイプのサービス(Agentic AI)——たとえばプレゼン資料の自動作成、SNS動画の自動生成、履歴書の自動応募など——これらの多くは、ビジネスの成果にはつながっていません。

AIで資料が自動で作れたからといって、それで商談が取れなければ意味がない。動画を自動で編集できても、視聴者の心を動かせなければ、それは単なる時短に過ぎません。つまり、「AIを使うこと」自体は目的ではなく、“何を実現するために使うのか”という設計思想が問われる時代に、私たちはすでに入っているのです。

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手段が目的化されると、本質を見失う

Agentic AIは多忙な現代人にとって便利な道具です。確かに、資料作成や編集といった“手間のかかる工程”を短縮できるのは大きなメリットです。でもそれは、早く終わらせることに価値がある作業に対してのみ有効です。本来の目的が「相手に伝える」「納得してもらう」「心を動かす」といった感情的理由なことである場合、作業スピードの短縮だけでは成果に結びつきません。このように、手段が目的化され、「ラクになったこと」=「価値があること」だと錯覚してしまう状態こそが、今まさに世界中で起きているビジネスにおける最大のバイアスの一つです。

AIの価値を引き出すのは「UXデザイン」

ここで必要になるのが、UX(ユーザー体験)デザインです。UXデザインは、ユーザーの「行動」「心理」「状況」「期待」などを深く理解し、最適な体験を設計する仕事です。WebサイトのデザインでもモバイルアプリのデザインのためだけにUXデザインがあるわけではありません。どんな場面で、どんな人が、どんな目的で使うのか、この流れを設計できなければ、これまでの既存のビジネスはもちろんのこと、AIが生むコンテンツや機能といった新しい物事は単なる“便利なガジェット”で終わってしまいます。UXデザインの視点があることで、AIは使われるものになります。なぜならUXは、「人にとって意味があるとは何か?」という問いに向き合う設計行為そのものだからです。

バイアスとUXデザイン—誤解を超えて設計する力

AIの影響により手段が目的化して捉えられるシーンが多いですが、AIをビジネスに活かすためには、とにかくバイアスとの戦いが避けられません。(バイアスとは、無意識に生まれる偏った思い込みや判断です。)たとえば、AIから出てきた答えを「正しい」と思い込んで鵜呑みにしてしまう。あるいは、「AIに任せておけば安心だ」と思って設計の手を抜いてしまう。これらはすべてバイアスですが、バイアスがやっかいなのは、とくに目に見えない物事に対して大きく作用してしまう点です。つまり、AI自体目に見えるものではないため、AIの利用の時点である程度のバイアスが発生しているわけです。

UXデザインは、まさにこのバイアスを可視化し、乗り越えるための設計の技術としても存在しています。

  • ユーザーがどんな誤解をしやすいか
  • どこでつまずくか
  • 何を期待して操作するか
  • どのような環境や制約があるか

こうした要素を徹底的に分析し、プロダクトやサービスに反映させていく一連の作業がUXデザインであり、これらの積み重ねが、信頼される体験につながっていきます。

AIがアウトプットを作り、UXがそのアウトプットを「人に伝わる形」に整える。この協働があってこそ、AIははじめて「使えるもの」になるのです。素晴らしい技術であるAIだけを見ていても、ビジネスとして価値があるものに変えるためには、感情というAIが持たない部分を人間がデザインする必要があるのです。

「速さ」ではなく「伝わる価値」こそが鍵

AIは速く、正確で、便利です。でもそれだけでは、人は動きません。とくにビジネスとなると、利用する人にとっての価値を明確にしなければいけません。そこで、私たちGenki Brothersは、UXデザインを専門とする立場として、AIの実践例をいくつか実際にデザイン・開発してみました。

バーチャルフィッティング

オンラインストアで試着体験ができるAIツールです。お手持ちのスマートフォンでアクセスしてみてください。最適なユーザー体験を試すことができます。

バーチャルフィッティングを試す

日本語履歴書ツール

日本語での書き方や日本独自の書式を理解していなくても、日本の履歴書と職務経歴書を生成できるAIツールです。デスクトップからアクセスしてみてください。

日本語履歴書ツールを試す

これらは私たちのこれまでのクライアントワークを通して、多くの人が課題だと感じている部分に対するソリューションになりうるものとしても位置づけています。オンラインバーチャルフィッティングは、オフラインの体験をオンラインでも可能にするものでありつつ、ECビジネスの悩みでもある返品対応へのソリューションでもあり、履歴書ツールは、日本の採用文化を知らない人のためにと、価値創出のエリアを明確にしてプロダクトをデザインしました。このように私たちは今、「AIをどう使うか」だけでなく、「AIをどう活かして、人にどんな価値を届けるか」を問われているのです。

AIは、これからの時代に欠かせない存在です。けれど、それをどのように組み込み、どのように伝え、どんな体験として届けるか。そのすべてを支えているのがUXデザインの力です。UXとは、単なる見た目のデザインではありません。「人の心に届く価値とは何か?」を考える、ビジネスの土台そのものです。AIを“使える道具”にするか、“無駄な投資”にするか。その分かれ道は、UXを理解しているかどうかにあります。


焦らず専門家にまず相談しよう

AIは圧倒的な知識量と処理能力を持ち、しかも24時間止まらず働き続けます。こうした利点から、「人間の代わり」として導入され、コスト削減や業務効率化の手段として期待される場面が急速に増えています。しかし、人件費の削減を目的としてAIを使い始めると、そこにはまさに「手段が目的化してしまう」という大きな落とし穴があります。

AIはあくまでもツールであり、価値を生み出す主体は依然として人間です。もしもそのツールをどう使うべきか、どこで使うべきかを見誤れば、いくら優れた技術でも意味をなさないどころか、企業の信頼やブランド価値を損ねるリスクさえあります。だからこそ、焦らないことが何より重要です。AI導入は「早く動いた者勝ち」ではありません。正しく設計し、使いこなせた者が価値を生み出せる世界です。

UXデザインの視点を取り入れ、AIを使ったサービスやプロダクトが「本当にユーザーにとって意味があるか」を見極める必要があります。そしてそれは、多くの場合、一人で判断するには荷が重い領域です。今、あなたのビジネスにとってAIは何を実現してくれるのか。それを明確にするためにも、まずは私たちのような専門家に相談してみてください。

私たちは、UXデザインの知見を通じて、AIとビジネスの最適な接続点を一緒に探ります。
迷う前に、一度話をしましょう。価値ある一歩を踏み出すために。

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Genki BrothersではAIの基本的な情報からビジネス利用までをまとめた資料を無料配布しています。これは、世界中のクライアントワークを通して見てきた現状でもあり、国や人種関係なく共通していることです。この機会にご興味ありましたら、下記フォームよりお申込みください。自動返信案内にてダウンロードリンクをご案内しております。

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