UX ≠ Usability


UXはユーザビリティではない

ここ数年何かにつけてUser Experience、UX、UX Designと国もメディアも関係なく世界中の色々なところで言われてますが、本当に意味を理解して解説しているメディアやライター、人材を派遣しているリクルーターは多くありません。その原因の一部には、SaaSモデルのようなソフトウェアのサービスが劇的に増えた背景、また人材採用におけるプロセスの影響があります。

正直なんでもかんでも「UX(User Experience)」ということ自体、目的が手段化してしまっていて、本末転倒になっています。

 

1. UXとは誰が思いついたのか?

まず「User Experience」という言葉は、UserとExperienceを組み合わせた造語ですが、誰が思いついた言葉なのでしょうか?仕事柄多くのUX デザイナー、UI デザイナーに世界中で会ってきましたが、誰が思いついた言葉なのか質問しても答えられない人が多いです。人事にプロであるリクルーターも同様です。

ですが、コンピューターサイエンスやプロダクトデザイン業界など、タンジブルなものがありきの業界の人達は知ってる人が多いです。それは、UXという言葉がこういう人達から生まれてるからです。

メディアでも賛否両論ありますが、自分はBill BuxtonがUXという単語を多く使い始めと見ています。

一般に広めたのはこの人、Don Normanの功績が間違いなく大きいです。ですが、この二人の存在をUX デザイナー、UI デザイナーを名乗っている人でさえ、知らない人が多いという事実があります。非常に残念なことで、信号機の色の意味がわからないのに運転しているようなものです。

 

2. ソフトウエアだけの商品・サービスが圧倒的に増えた。

Bill Buxtonの背景のように、元々はScience & Technology分野から使われ始めた言葉です。以前は今ほどInstagramやFacebookといったWebサイトのサービスを含むソフトウエアの数が多くなく、UXという言葉が限られた業界の中だけで使われてました。ですが、インターネット、iPhoneをきっかけに広まったスマートフォンの影響で、タンジブルなものを必要としないソフトウエアだけの商品・サービスがスタートアップの影響もあり毎年増え続けています。UXという言葉が、こういったタンジブルなものでないものにも適用され始め、日常的にWebに触れている現在において、ソフトウエアを軸にUXを考えている人が増えてきています。

ですが、ソフトウエアのUser Experience、例えばオンラインショッピングで1クリックでも少なく早く会計に進ませたい、Webサイトをもっと読みやすくしたいなど、こういったことをUX デザインで解決してと自分も仕事を通して言われたことが多々ありますが、これらはすべてユーザビリティのことであって、UI デザインで解決することです。

UXという視点でショッピングを考えた場合、例えば会計に進ませ、すぐにでも買わせたいのであれば、

Amazonが売り出したDash Buttonsは画期的に買い物自体の体験値を変えました。

こんな風にショッピング自体の買い方を変えることをデザインすべきです。Instagramは、人が写真を撮る体験(UX)、意義をソフトウエアでもって変えてしまったカメラ系アプリの一つで、こういった事実がUXという言葉の定義を変化させていて、UXの本質をわかっていない人が増えている理由の1つだと考えています。UXを考える上でUI デザインは非常に重要な要素です。ですが、同じものではないです。

 

3. Designの領域、意義、背景の変化

ここ10-20年間だけ見ても、様々な領域でDesignに対して求められていることが変わってきています。Designというとスケッチして絵を描いたり、洋服のデザインをしたり、何かビジュアライズすることを指すイメージが強いと思いますが、

Realization of a concept or idea into a configuration, drawing, model, mould, pattern, plan or specification (on which the actual or commercial production of an item is based) and which helps achieve the item’s designated objective(s).

Read more: http://www.businessdictionary.com/definition/design.html

ここに定義されているように、描くといった行為だけでなく、目的、システム、様々なインタラクションを構築するための行為、計画、設計全体を指します。デザインと生産の関係=計画と実行の関係ですね。

またDesign Thinkingという言葉が数年前から頻繁に使われ始め、ハーバード大学などのビジネスコースでもDesign Thinking Programが取り入れられてます。このようにDesignが抽象的なものにまで適用され始め、かつ、Designの作業現場では様々なツールが生まれ使われ、そして毎日新しいDesignが生まれています。

グローバル企業の経営陣の中ではもはや定番となっているデザイン思考。

2005年、自分がこのデジタル業界に入った時は、誰かが作ったテンプレートを買って利用してWebサイトをDesignするなんてことはほとんどなかったです。情報共有できるNoteや今では当たり前のソーシャルメディアのようなプラットフォームも少なかったですし、昔と比べ現在では自由に簡単に情報にアクセスでき、Designが実行しやすい環境です。このように様々なツールや概念が多様化されている背景が、UX、UX Designという言葉の重要性を押し上げていつつ、捉える人の背景によって意味が非常に異なるものになってしまっています。

 

冷静に置かれた状況を客観視してみる。

上記のことを踏まえて改めてUXデザインを考えてみてください。必ずしも全てのケースにUXデザインを利用する必要はないはずです。UXデザインとは本来とてもアカデミックなものであるべきで、非常に多くのリサーチ、検証を繰り返します。Bill Buxtonが映像の中で説明している通り、ハードウェアの利用体験を変えたらどうなるか?今までにない体験値を作り出していくのが、UXデザインの本質でもあり、醍醐味なはずです。

例えば冷蔵庫や電子レンジのような生活家電においてUXデザインはどのくらい重要でしょうか?冷蔵庫はそもそも食料品を保管しておくためのもので、冷蔵庫がIoT化する必要はありますか?それよりも、食料品をより効果的に保管できたり、毎日の食生活の改善につながるような冷蔵庫のほうが冷蔵庫本来の目的を維持していると思います。それは洗濯機も同じで、IoT化され外出先から洗剤が投入できるなど高機能になっている商品がありますが、洗濯をする体験値は何も変わりません。

このように、直面している課題を冷静に、かつしっかりと目的を手段と捉えずに商品やサービスの価値を高める方法をどう実現できるか考えることがUXデザインの始まりです。

焦らず専門家にまず相談しよう

プロジェクトの内容に関わらず、なるべく早いタイミングでUXデザインの専門家に相談することが、UXデザインをスムーズに実践するための最善策です。場合によってはUXデザイナーが必要ではなく、UIデザイナーで対応できる話かもしれませんし、そもそもUXデザイナーという外部の専門家にお願いしなくても、チーム内のリソースだけで対応できる話かもしれません。

このような判断をプロジェクトの開始時点で行うことができれば、無駄なコストをかけずに進めることが可能です。UXデザインをどのように開始するのか悩んでいたら、是非お気軽にお問い合わせください。無料でご相談受け付けています。

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